薪ストーブには形やデザインが多様化してバリエーションも豊富ですが、
環境問題へ対応するために、薪を燃やすためのシステムや燃焼の方式にも大きな差があります。
いかに排出されるCO2を減らすかが大きな課題とされており、各社がそれぞれに燃焼方式の技術を開発。
そんな中で、確実に成果を達成してきている2つの燃焼方式を紹介します。
薪ストーブには薪を燃やす際に発生する煙とそれに含まれる有害物質であるCO2やクレオソートを大気中に排出しないために、煙を2回~3回まで燃やし尽くし、煙を無害化する技術が備わっています。
その燃焼方式には【触媒方式】と【非触媒方式】の2つがあります。
・触媒方式(キャタリティックコンバスター方式)
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触媒方式は、英名「キャタリティックコンバスター」と言います。
各メーカーのカタログやHPでは主にキャタリティックコンバスター方式と表記する場合が多いので覚えておきましょう。
キャタリティックコンバスター(触媒)は写真①のような形をしており、薪ストーブの上部、煙突と薪の燃える1次燃焼室の間に組み込まれています。写真②
薪が燃える際に発生した煙は、1次燃焼室から2次燃焼室を通ります。2次燃焼室で、薪の燃焼時に発生する「熱」を利用して煙をもう一度燃やします。
さらにその燃やされた煙は、ストーブ内の熱で高温になった3次燃焼室に組み込まれた触媒の網目を通り、さらに焼き尽くされます。
・煙が外に出るまで 写真③
【薪の燃える一次燃焼室】⇒【二次燃焼室】⇒【三次燃焼室(触媒)】⇒【煙突】
こうすることで、薪の燃焼で発生した煙の二次燃焼を促進、煙の中に含まれるCO2やクレオソートは完全に焼けきり、煙突から排出されることがありません。
煙突から排出されるのは、白い煙ではなく熱気と微量の蒸気です。
触媒方式のストーブは薪をただ燃やすのではなく3度燃やし、排出ガスを無害なものとして大気中に排出することが出来るので、環境にもっとも優しいストーブといわれています。
さらに、触媒方式のストーブの特徴は、熱効率がとてもよいことです。
薪の燃焼で発生した熱を余すことなく使用するために、暖房能力も高く、薪の燃焼時間も長いので、エコロジーかつ薪の節使用が可能になります。
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①触媒
②触媒の位置
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③燃焼行程
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・非触媒方式(クリーンバーン方式)
触媒を使用しないで、燃焼効率や排出ガスをクリーンにする方式のことを「クリーンバーン方式」と言います。
※メーカーによっては「クリーンバーニング、ノンキャタリック」などの表記もあります。
クリーンバーン方式は、触媒のように加熱した物を通過させて2次燃焼、3次燃焼するのではなく、燃えきらなかった煙成分に、1次燃焼で加熱した「空気/熱風」を吹きかけて引火させて2次燃焼、3次燃焼させるシステムです。写真①
・煙が外に出るまで
【薪の燃える一時燃焼室】⇒【熱風で2次、3次燃焼】⇒【煙突】
クリーンバーンの細かな設計や方式は、薪ストーブの各メーカーによって若干の差がありますが、基本的な理論は同じです。
クリーンバーンの長所はなんといっても綺麗な燃え方、美しい炎です。
薪の燃焼室内での2次燃焼を促すために吹き出される熱風によって空気の流れが生まれるため、炎が良く動き、燃え方も強くなります。
さらに、コンバスター(触媒方式)に比べ、着火などの操作が楽といえます。
その代償として、燃費が触媒方式に比べると悪くなります。
機種によりますが、年間にして2~3割増しの薪の消費量になるといわれています。
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①クリーンバーン
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