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TOP>薪ストーブ導入編 薪ストーブの安全と危険
薪ストーブを導入するに当たって忘れてはならない部分が、安全性と危険性です。
体も心も温めてくれる薪ストーブですが、危険性を知らずに使っていると火災の恐れがあるのが事実。
ここでは薪ストーブの意外なところにある危険性などを解説しましょう。
薪ストーブに対する世界的な法律規制の強化は【薪ストーブと環境問題】で解説しました。
現在の流通している薪ストーブは、厳しい排ガス規制をクリアし、さらにはその設置方法にも各国、各メーカーが細かな基準を設けています。
これは、薪ストーブの燃焼技術の進化で、より多くの熱エネルギーを発生できるようになったため、本体や煙突内部の高温化による火災や低温炭化などの事故を防ぐためです。
しかし日本には、薪ストーブ排ガスの法律規制は無く、煙突などの取り付け方法を定めた建築基準法の一部は、昭和25年という過去の法律から現在まで改定、変更されていないのです。
その古い法律に従って今の薪ストーブを設置した場合、将来的に高い確立で火災を引き起こします。
・建築基準法 第115条の3 「建築物に設ける煙突」から抜粋
煙突は、建築物の木材とその他の可燃物から15センチメートル以上離して設けること。
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この法律どおりに設置するとなると、煙突と壁との距離は15cm離れていれば問題ないとなります。
現在の薪ストーブで壁から15cmの位置に煙突を設置すると、早い段階で低温炭化の症状が出ます。
もし10年もこの状態が続けば、木材が炭化してしまい低温での発火による住宅火災が想定できます。
こんな古い法律が今の世の中でも普通に通っているのです。
薪ストーブを導入する際に、必ず引っかかってくる法律のひとつが「内装制限」です。
内装制限とは、もともと火気使用室、つまりガスコンロなどが置かれているキッチンに対する使用可能な内装材料の指定や制限を行う法律です。
薪ストーブは日本の法律上、FFストーブのような暖房ではなく「裸火」として解釈されてしまうので、薪ストーブを設置する部屋は、たとえリビングであってもキッチン同様「火気使用室」として指定されます。
・建築基準法 第129条の6、128条の4 「火気使用室の内装制限」から抜粋、編集
住宅の階数が2以上で最上階以外の階にある火気使用室の天井と壁には、不燃材料または準不燃材料を使用すること。
または長さ50センチメートル以上の垂れ壁を設けなければならない。 |
簡単に説明すると…
2階建て以上の住宅の最上階より下の階に火気使用室を設ける場合は、火災時の炎が上の階へ延焼するのを防ぐために、壁と天井を不燃材で覆う、または50cm以上の垂れ壁を設けなさい。ということです。
この法律も、煙突の法律と同様に昭和25年に制定されたとても古い内容のままです。
現在の薪ストーブの形状やシステム上、本体から直接火災になることはほとんどあり得ません。
現在起きている薪ストーブでの火災は、すべて煙道火災、低温炭化による出火が原因です。
つまり、薪ストーブを置く部屋のすべてを不燃材にしたところで、煙突が壁から15cmの場所にあったのでは全く意味を持たないといっても過言ではないのです。
内装制限については、長野県がペレットストーブを推奨し、その際に「県の推奨なのに内装制限がつくのは…」という声から、県の条例で、薪ストーブとペレットストーブに内装制限を適用しないこととなりました。
最近では薪ストーブの需要も徐々に増え、それに伴って各自治体も独自の基準や条例を適用し始めています。薪ストーブ設置の際はぜひともお住まいの役場、建設課に問い合わせてみましょう。
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薪ストーブの危険性を知っただけでは安心できません。それはなぜでしょうか?
薪ストーブの設置や、施工には建築業者、工務店などの第3者が関わる可能性が高いからです。
もし、あなたが住宅への薪ストーブの設置を依頼した業者が、最近の薪ストーブ事情を知らなかったら?
もし、担当した技術者、大工さんが過去に習得した古い法律のままの設置方法で施工してしまったら?
すべてを自分の指導の下でやる!という場合は、本人だけがしっかりとした知識を持っていれば問題ないかもしれませんが、新築やリフォームなどのタイミングで薪ストーブを導入する場合は、必ず建築業者との共同作業になるのです。
暖かい薪ストーブライフを安全なものにするために、以下のことを知る、守っていきましょう。
薪ストーブの安全基準、設置方法や周辺の施工法に関して、各薪ストーブメーカーや、日本暖炉ストーブ協会が独自の安全基準を発表していますので、その基準に沿った施工をしましょう。
この安全基準は専門分野の立場から考えられているものですので、とても信頼できます。
薪ストーブの設置を依頼する業者にもこの基準をしっかりと伝えるようにしておく事も必要です。
あなたの家に薪ストーブ導入する時は、施工業者である工務店や建築会社に全てを任せっきりにしてはいけません。(いないとは思いますが…)
薪ストーブをどこから購入するか、そのショップ選びから全てが始まっていくのですから。
薪ストーブショップとの関係は、購入してハイ設置でさよならというわけにはいきません。設置後のメンテナンスやトラブルの修理などのアフターフォローが欠かせません。
さらに薪ストーブショップが決まれば、そのショップの担当者に設置プランの確認や安全基準の確認を踏まえたうえで、施工業者側と設置プランを考えることができれば一番理想的。
安全基準もミスすることなく薪ストーブの設置が行え、安心して使用することができるでしょう。
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【煙突の種類・材質】
次のページでは、薪ストーブの命ともいえる煙突の種類や材質による特徴を解説しています。
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