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薪ストーブの煙突について

 薪ストーブビギナーが、軽く考えがちな煙突のこと。
実はこの煙突こそが、薪ストーブの性能を発揮する上で一番大切な部分となってきます。
煙突の設置ひとつで、燃費や暖房効率だけでなく安全性にも影響してきます。


煙突は薪ストーブの命 その重要性

  薪ストーブの排気は「自然の力」

 大抵の方はご存知かと思いますが、薪ストーブの排気にはファンなどの機械は一切使用しません。
熱気が上昇するという自然現象を使用した、ナチュラルドラフトによる排気を行っています。

 薪を燃やすことで上昇気流を発生させ、その勢いで煙を外へ排出しているのです。
吸気は、自然の上昇気流を利用して、薪を燃やすための酸素を外から取り込んでいるとも言えます。

 煙突内の空気の流れを悪くすると、同時に吸気も悪くなるので、燃費や燃焼率にも大きく影響します。
煙突の排気力と吸気力は自然の力を利用した表裏一体のシステムなのです。
 
煙突の性能は、煙突自体の「種類」、「取り付け方」によって大きく左右されます。


  ◆煙突の種類と材質

  ・煙突の素材

 煙突の素材は一般的には
ステンレス製のものを使用します。
これは、ストーブの排気に含まれるタールやクレオソートに腐食成分が含まれているためで、
鉄製だと錆びてしまい、耐久性に劣るので、腐食に強いステンレスが一般的になりました。

  ・煙突の種類 シングル煙突と二重煙突

 煙突の種類には、ステンレス板を丸めただけのシングル煙突と、
径の異なる2つのステンレス煙突の間に断熱材を充填させて断熱性を向上させた2重煙突があります。
 ・シングル煙突

私たちの一番身近な煙突がこのシングル煙突。
家庭のストーブの排気に使用される煙突は、大体の場合このシングル煙突で、ホームセンターにもずらりと並んでいるのをよく見かけます。
煙の熱が伝わり煙突が高温になるので、輻射熱により周辺の空気を暖めることができます。
シングル煙突 図
  ・二重煙突(ダブル煙突)

薪ストーブの煙突として最も使用されるのが、二重煙突です。
この煙突は中間に断熱材が入っているため、煙突の外側が高温になりにくく、火傷や低温炭化の防止ができます。
当然内部を通る煙の温度も外気温の影響を受けにくく、排煙温度を下げずに排出することができます。
二重煙突は、ダブル煙突とも呼ばれます。
二重断熱煙突 図

  ◆薪ストーブに二重煙突を使用する訳とは?

 薪ストーブの排気に利用する煙突のほとんどが二重煙突なのにはいくつかの理由があります。

  
【煙の温度を冷やさない】

 薪ストーブの排気、吸気は自然の上昇気流、ナチュラルドラフトによって行われます。
自然界の法則上、
熱気は上昇、冷気は下降という原理を利用した空気の対流システムなのです。

 断熱材の入った二重煙突を利用することで、内部を通る煙の温度を極限まで高温状態を維持して通過させることができるので、それだけ大きく安定した上昇気流を生み出せるわけです。
 逆にシングル煙突には断熱効果はないので、室内の空気や外の空気の影響を受けて煙の温度が極端に低下してしまいます。煙の温度が下がると、熱による上昇気流は弱くなり、煙が抜けにくくなります。
こうなると、当然ストーブ本体の吸気も弱くなってしまい、不完全燃焼や煙の逆流が発生するリスクが高まります。

  
【メンテナンス頻度 コストパフォーマンスが優秀】

 シングル煙突は煙の熱を外に放出する代わりに、外気の影響で温度が下がり、ドラフトが低下します。
さらに、煙の温度が149℃以下になると、煙に含まれる水分(蒸気)が結露現象により煙突の内部表面に細かな水滴が付着します。この水分にタールやクレオソートが吸い付くため、煙道自体が狭くなってしまいます。
こうなるとさらに煙の排気が困難になってしまうので、細かな煙突掃除や交換が必要となります。
右写真:シングル煙突の内部にタールなどが付着しているため、煙の通り道が狭く、安定したドラフト効果も期待できない。
シングル煙突は二重煙突に比べ掃除や交換の回数が多く必要になります。

 煙突掃除や交換の頻度を長期で考えた場合、シングル煙突の方がコストが高くつきます。
煙を冷やさずに一気に外へ排出するために、断熱効果のある二重煙突を使用したほうが得なのです。
シングル煙突内部に付着したタール


煙突は薪ストーブの命 その重要性


 実は、薪ストーブビギナーが最初につまずいてしまうのがこの二重煙突の購入に関してです。
二重煙突はとにもかくにも高いのです。その値段は
シングル煙突の8倍~10倍にもなってしまいます。
 2階建て住宅で1階から煙突を伸ばすとなると、○○万円の出費となります。
これはまきストーブユーザーとしては当然のことで、それを踏まえたうえでの薪ストーブとして理解していただきたいのですが…
 二重煙突の値段とシングル煙突の値段にここまでの差があるのには訳があります。


  
◆薪ストーブに二重煙突を使用する訳とは?

 現在までに出回っている断熱二重煙突のほとんどが海外からの輸入品です。
最近ではメトスなどの国内メーカーが進出してきましたが、日本には二十煙突の明確な規格すらないため、海外のメーカーから輸入して使うしかなかったのです。
輸入品となると当然莫大なコストが運搬費、中間マージンなどにかかってしまいます。
もともと安価なものではない上にさらにコストがかかってくるので、最終的な金額は1軒分で薪ストーブの本体価格をすら超えてしまう値段となります。


  ◆優れる耐久性と断熱材

 二十煙突の耐久性は非常によく、一度購入すると一生使いまわせるといわれています。
たとえ薪ストーブを入れ替えても古い二十煙突をそのまま使用できるほど耐久性があります。
 断熱材にはシリカ粉末を固めた層を形成し、断熱効果を発揮します。このシリカ粉末は熱に強く、硬いので煙突自体の剛性も向上します。
 シングル煙突はいわばステンレス板一枚だけで構成されていますので、長期の利用で凹みやワレなどが生じやすいので、ランニングコストを考えると、最初に二十煙突を使用しておいたほうが、メンテナンスや交換の手間とそれにかかる費用も削減できます。
厚さ25mmのシリカ粉末断熱材


  【まとめ】

 初めて薪ストーブを導入するときに、知らずにびっくりしてしまうのが煙突の重要性と価格です。
シングル煙突は放射熱に優れているので、室内を通る煙突に使用すると暖房効率は向上します。
その代わり、煙の温度が下がることによるリスクをしかりと理解したうえで煙突の設置プランを考えましょう。

煙突の良好な排気こそが薪ストーブの暖房テクノロジーを最大限に発揮させる鍵となります。
煙突に不具合があれば、どんなに良いストーブを使用しても薪は思うようには燃えてくれません。
ここでの出費こそが薪ストーブ導入で大切な部分であることを忘れないでください。


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