薪ストーブにとって心臓ともいえる煙突。その重要性はお分かりいただけましたか?
では、煙突の設置方法としてどんなものが一番理想的でいいドラフトをサポートできるのか。
煙突の理想的な設置方法と設置プランの立て方についてご紹介します。
煙突の排気は熱の上昇原理を利用した自然の空気対流のシステム。
つまり、煙が上へ上へと行きたがるのだから煙突も真っ直ぐ上へ向けて立ててあげるのが理想的です。
使用する煙突の部材は真っ直ぐな二重煙突(一部シングル可)だけなので無駄にお金がかかりません。
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薪ストーブの排気口から煙突を真っ直ぐ立ち上げ、屋根を貫通させる煙突の設置方法。
煙のドラフトの速度を妨げるものが何もないため、すんなりと煙が上昇し排出される理想的な形です。
真ん中の写真は途中から太くなっているのが二重煙突、下の細いほうがシングル煙突です。
右の写真は屋根出しの煙突をレンガなどで造った枠の中を通しています。
何らかの理由で煙突を真っ直ぐに伸ばすことが困難な場合は、一度壁を貫通し外に出してから上へ伸ばす設置方法がとられます。
これは煙突に曲がりを使用して屈折させ、真っ直ぐ伸ばせる場所まで煙突を抜き出します。
屋根出し煙突に対して使用する煙突部材が増えるため購入コストも煙突掃除の手間も余計にかかります。 |
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日本の住宅で一番多い設置方法がこの壁を貫通させて屋外の壁に這わせる壁出しの煙突です。
見てわかるように、室内にある煙突を外へ出すために1回~2回曲がり煙突を使用して横に這わせています。
この横に這わせている煙突があることで、ドラフトの効果は多少落ちてしまいます。上昇したがる煙を無理やり横へ流させるのですから当然です。
この場合はさほどタブーとされているレベルではありませんが、煙にとっての抵抗がある状態なので、
屋外の真っ直ぐ伸びる煙突の長さを長めに取ることで引っ張るドラフトを生み出す必要があります。
薪ストーブの煙突には煙突の高さと薪ストーブ本体との高低差に関するガイドラインがあります。
このガイドラインに極力従った形の煙突の設置プランを組むことで、薪ストーブの性能はある程度保障されるものと考えてください。
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・煙突とストーブ本体との高低差
煙突自体の長さは、最低でも4.5m以上の長さの確保が必要です。
つまり薪ストーブの上部から煙突の上部までの距離は4.5m以上の高低差を設けなければいけません。
これは排煙力(ドラフト)は煙突の長さに比例して決まります。煙突が長ければ長いほどドラフトは安定しますが、短すぎると弱まり、煙の逆流が発生します。
壁出し煙突で横引き煙突を使用する場合は、横引きの長さは1m以内にしなければいけません。
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・煙突と屋根との距離関係
煙突と屋根との距離関係にも守るべきガイドラインがあります。
これは煙突の適切なドラフトを、屋根付近で発生する乱気流などから守るためと、煙道火災時の火の粉から屋根材を守るため。
このガイドラインを著しく害した煙突の設置をすると、ドラフトの流れが乱気流に狂わされ、煙の逆流や不完全燃焼を引き起こしてしまいます。
屋根と煙突の接地点からトップまでは最低900mm以上、煙突から水平3m先の屋根材の高さからトップまでは最低600mm以上、煙突から3m以内に屋根の棟がある場合は棟から600mm以上の立ち上げが必要となります。
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薪ストーブ暖房の要とも言える煙突にはやっぱりこだわりたいものです。
初期費用としては高い買い物になってしまいますが、安物を使ってメンテナンス、交換などの費用を積み重ねていくほうがよっぽど高くつきますので、しっかりしたメーカーの良い物を選びましょう。
現在も国内には薪ストーブ用の二重煙突を主立って製作販売している会社は残念ながらありません。
しいて言えば㈱メトスなどが煙突トップ部材などを販売していますが、単管やエルボなどの部材はほとんどが輸入品になります。
・SFL社(元セルキルク社) 生産国:ヨーロッパ 国内正規取り扱い:㈱ファイヤーサイド
断熱二重煙突ではセルキルクとして世界的にトップシェアのメーカーです。
ストーブショップ施工時の二重煙突に使用されるメーカーではこのメーカーが一番多いのでは…
・パワーマチック(Powrmatic) 生産国:イギリス 国内正規取り扱い:ダッチウエストジャパン
断熱材にシリカ粉末を使用してその断熱性を飛躍的にアップさせたことにより、煙突と可燃物の距離を50mmにまで可能にした高性能断熱二重煙突です。ダッチウエストの正規取り扱い製品として国内に流通しています。
・メトス(METOS) 生産国:日本 販売元:㈱メトス
煙突の最上部の各種トップを販売。煙突単管部材などは取り扱いなし。
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