近年特に世界的に問題視されているのが、環境問題ですね。
それは大気汚染による温暖化現象、それに伴う異常気象、海水温上昇によるサンゴの死滅などなど…
私たちは普段何気なく生活しているだけですが、実はこの人間の生活がすべての原因なのです。
もっともっと関心を持って学ばなければいけないと、私は思うのです。
最近の薪ストーブの再普及(ブーム?)には、石油燃料の価格高騰という理由だけではなく、
薪ストーブが、実は環境を一切汚染しない暖房器具だということが知れ渡ってきているからだとも感じます。
薪ストーブで使用する燃料は当然「薪」です。その薪燃料は、【バイオマス燃料】に属しています。
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バイオマスとは、石油などのように地下に存在する化石資源ではなく、地上の生物が生成してくれる薪などの生物資源のことを言います。
薪も有機物なので、燃やせば当然二酸化炭素が発生します。しかもその量は一年にすると灯油ストーブよりも多いのです。ではなぜそんな薪燃料が環境にいいと言えるのか?ここがちょっと頭の捻り所になるわけです。
◆自然界での循環性質 カーボンニュートラル
薪を燃やすと発生する二酸化炭素は、樹木が成長する上で空気中から取り込んだ二酸化炭素です。
ようするに、薪の燃焼で発生した二酸化炭素は、樹木が生長する再にまた吸収されてしまうのです。
たとえば燃やさなくとも、木はいずれは倒れ、微生物に分解され同じように炭素などを空気中に排出することになります。その排出された炭素もまた樹木の生長過程で吸収されていきます。
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図の解説
木が生長するために空気中のCO2などを吸収し、人間がその木を薪として燃やして発生したCO2は、もともと空気中にあったCO2です。
薪燃料から発生したCO2は、他の木が成長する際に、また吸収されてゆきます。
人間と木の間でCO2の循環が成り立っています。
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この二酸化炭素の循環をカーボンニュートラルといい、数億年もの前から何も変わらず今も続いているのです。それでも空気中のCO2濃度は変化していませんので、100%の循環が出来ていることがわかります。※カーボンニュートラルの定義についてはこちらを参照。
◆閉じ込められた二酸化炭素 化石燃料
私たちが今直面しているCO2の増加は、地下に眠っている化石燃料、つまりガソリンや灯油、軽油などの石油燃料の消費によって排出された二酸化炭素が、地上の生物だけでは吸収しきれず、濃度が増加しているものです。
この化石燃料は、数億~数十億年前には同じように空気中にありましたが、途方も無い年月をかけて地下に閉じ込められたものなのです。私たち人間はそれを好きなだけ掘り出して燃やしています。
今の地上には無い過去の燃料を「今」燃やしていることで、その分地球上のCO2は増加しているのです。
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図の解説
ガソリンや灯油などの石油燃料は、もともとは地底深くに閉じ込められていた化石燃料です。
この燃料はもともと地上には存在しなかったものなので、この燃料で発生してしまったCO2は地上の植物だけでは吸収しきれず、大気中の二酸化炭素濃度が増加してしまいます。 |
◆バイオマス燃料はCO2の排出がゼロ!
以上のことから、自然界の生物から作り出した薪は、燃やしてもCO2の排出がゼロといえるのです。
ちょっとややこしいかもしれませんが、薪燃料は元からあったCO2を人間と木の間で循環しているのですから、地球上のCO2の濃度は変わりません。
同じくペレット燃料も木材チップから作られているので、バイオマス燃料となり、CO2はゼロです。
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◆世界的な排ガス規制による薪ストーブの進化
薪ストーブが環境を汚染しない暖房方法として確立されたのには、上記のバイオマス燃料によるカーボンニュートラルの作用だけではありません。
2000年以降、薪ストーブの普及率が高いヨーロッパやアメリカでは、薪ストーブの排出する煙(排出ガス)を車などの排出ガスと同様に法律、規制の強化を始めました。
これによりただ燃やしているだけの薪ストーブを製作していたメーカーは淘汰され、排ガスに含まれるCO2やタールをしっかりと抑制する技術を開発し搭載したメーカーが、現在流通しているダッチウエストやヨツール、バーモントキャスティングスなどの一流メーカーです。
現在流通している薪ストーブには、薪をただ燃やすのではなく、煙までしっかり燃やす技術が搭載されています。それが【薪ストーブの燃焼方式】でも解説した、「コンバスター」と「クリーンバーン」です。
燃えきらなかった薪の成分(煙)をさらに熱して二次燃焼させることで、大気中へ放出されるCO2やタール、クレオソートなどの有害物質を極限まで燃やし尽くしてしまうのです。
この二次燃焼、三次燃焼技術により、薪の持つ熱量を余すことなく利用でき、少ない薪で大きな暖房能力を得ることにも成功しています。
薪ストーブはその姿形からは想像できませんが、精密機械並のテクノロジーを持つ暖房器具なのです。
◆ちなみに日本は…
日本では、薪ストーブの排気ガスに対する法的規制は一切ありません。
というよりも、薪ストーブや煙突自体に対する法律も、昭和25年に制定された火災を助長しかねないような古い内容の法律しかありません。ですから、ユーザーや代理店などがしっかりとした知識を身につけて、薪ストーブや煙突の設置、周辺環境への影響を考えなければなりません。
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