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TOP>基礎知識 薪ストーブの種類・素材
一言に「薪ストーブ」といっても、デザインや素材、形状や用途によって多種多様なものがあります。
ここでは、薪ストーブの基本中の基本である【種類】と【素材】について解説しています。
・鋳物(いもの/cast metal)
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鋳物は、金属を加熱して一旦溶かし、型に流し込んでから冷やして固めて作り出す金属製品の総称です。
一言に鋳物といっても、使用する金属は鉄や銅、金や銀と様々です。
現代で言えばアルミニウムやマグネシウムで生成される鋳物が私たちの生活にとっては身近かもしれません。
有名なところでは奈良の大仏が型に金属を流し込んで作った鋳物です。
薪ストーブには鋳物(鋳鉄/いてつ)が最も使用されています。
鋳鉄は熱にとても強く、さらに一度温まると冷めにくいという特性を持っています。
鋳物ストーブのほとんどは、側面などに綺麗な模様が施されています。
これは、型に流し込んで作る鋳造技法が可能にしたもので、それが大きな魅力でもあります。
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・鋼板(こうはん/steel plate)
各ストーブメーカーで増加しつつあるのがこの鋼板を使用した薪ストーブ。
鋼板ストーブは、厚みのある鉄の板を切ったり繋いだりして生産されます。
鋳物のように型が必要ないのと、切断や折り曲げ、アール(曲面)成型が楽なために、形にとらわれないようなデザインが可能です。
オーソドックスなダルマ型薪ストーブも鋼板を使用して作られています。
鋳物と比べると熱に弱く、過剰加熱で高温を長時間にわたって維持すると、歪みが発生するのが難点。
鋼板は熱しやすく冷めやすいので、使用時の温度調節は鋳物と比べると若干手間がかかるかも知れない。
価格は鋳物ストーブよりも多少安価となっているため、コストとデザイン性重視で選ぶのであれば鋼板ストーブが最適でしょう。
最近では、冷めやすい鋼板ストーブの弱点を補うために、内部にレンガの内壁を持つものや、セラミックタイルやソープストーンなどの石を鋼板と組み合わせたストーブも登場してきている。
黒っぽい色が主流の薪ストーブだが、この石の表面を持つストーブの見た目はとても綺麗で、インテリアの一つとしても目を引く存在です。 |
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薪ストーブの素材が鋳物と鋼板の2種類に分かれているのがお分かりいただけましたか?
次に、薪ストーブを購入する際にもっとも考えさせられる部分である「ストーブの暖房方式」に関する種類を解説します。
種類は3つに分けられていて、輻射式、対流式、開放式があり、それぞれの特性によってストーブ自体の形状や暖房能力の違いがあります。
自分の理想とする薪ストーブをしっかりと思い描き、その上で能力や性能を見て吟味したいものです。
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・開放型
一言で言えば「暖炉みたいな薪ストーブ」です。
開放型には、通常の薪ストーブのように燃焼部分の扉とガラス窓が付いていません。
薪の燃焼部分が直接見れるタイプですが、一般住宅向きではなく、店舗やデザインを最優先する場合に選ばれることが大半を占めます。
見た目に加え、薪の燃える様子と音などを直に味わえるというのは魅力的ですが、その形状と構造から、暖気が煙突から外へ逃げやすいので、暖房能力はほかのタイプよりも劣ってしまいます。
・輻射式(ふくしゃしき)
現在最も流通している暖房方式で、多くのストーブがこの輻射式です。
輻射式は、薪を燃焼することでストーブ自体(本体)を暖めて、ストーブに触れる周辺の空気を暖める暖房方式です。
輻射式の薪ストーブの多くは、高温に耐性のある鋳物が多く使用されています。さらに、ストーブ全体が温まるので、熱効率がよく、火を熾してから温まるまでが早いのが特徴です。
ストーブ自体がかなりの高温になるために、壁や家具などと距離を置いたり、ペットや子供がいる家庭では火傷の危険が伴うため、フェンスでストーブを囲うなどの対策が必要とされます。
・対流式(たいりゅうしき)
鋼板製薪ストーブの普及に伴って増加したのがこの対流式です。
対流式は、ストーブの外側にもう一枚鋼板を使い「空気層」を設けることにより、その空気層を通る空気を暖めて放出する「自然のファンヒーター」のような暖房方式です。
メーカーにより、強制対流させるファンもオプションとして設定されており、速暖性に優れている。
外側に設けられた空気層と鋼板のおかげで、ストーブ自体の温度は高温になりにくく、輻射式ほど火傷の心配はありません。さらに、外側の鋼板がシールドの役割を果たすため、壁などからの離隔距離を比較的短めで済むことも魅力といえます。
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【薪ストーブの燃焼方式】
次のページでは、薪ストーブの燃焼方式を解説しています。
最適に薪を燃やすために、長い年月が培った技術、構造をご紹介いたします。
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