日本での薪ストーブに関する法律は、昭和25年に施行された建築基準法しかありません。
その法律では、薪ストーブと可燃物の離隔距離などの数値が十分なものではないのです。
ようするに「あてにならない法律」なのです。一番大切な”安全”には、自分でしっかりと手を尽くしましょう。
◆薪ストーブは重たい!!
薪ストーブの重さは、軽いもので80㎏~、中・大型では120kg~200㎏を超えます。
薪の燃える高熱に耐えうるために鋳物や厚い鋼板で作られているのですから、軽いはずがありません。
さらに煙突や炉台、薪やアクセサリーなどを置くと、おおよそ600kgほどの重量が床に圧し掛かります。
新築で薪ストーブを導入する場合も、リフォームで導入する場合も、床の補強は必須項目です。
補強をせずに薪ストーブを導入した場合、床が抜けて炉台、ストーブともに床下へ落下、それが燃焼中だった時はそのまま火災の恐れも十分考えられます。
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【床の垂木本数を増やし重量対策】
新築時やツーバイフォー住宅の場合は、床の
垂木を増やすなどして重量対策するのが理想的。
通常40cm~45.5cm間隔で入っているのでその倍の
垂木(20cm)間隔で入れれば耐荷重量は抜群。 |
【床下大引きの追加と束で補強】
床下の大引きを追加し、各大引きに束を立てて補強する。束の耐荷重量は1200kgあるので、床板さえしっかりしていれば、300kgのストーブを乗せてもOK
大引きには防虫対策も忘れずにしておこう。 |
薪ストーブを設置するとなると、床や壁を薪ストーブの熱から守る炉台と防火壁が必要になる。
最近では、炉台、壁ともにインテリアの一部と考えるユーザーはレンガを使用して自作(DIY)することが多く、その施工方法もざまざまで、「薪ストーブ
炉台」などで検索すると沢山の資料を見ることができます。
炉台のデザインや形状は人それぞれの好みでかまわないが、最低限守るべきルールはあるため、すべてを自己の判断で作成してしまうと、壁内部の低温炭化などが発生する恐れもあるので注意しよう。
炉台、防火壁を作成する際には日本暖炉ストーブ協会:暖炉・ストーブ安全基準ガイドの数値を基準にする。
【最低限のルール① 炉台のサイズ】
炉台のサイズは使用する薪ストーブのサイズによって異なるが、以下のような基本ルールがある。
・薪ストーブの脚の長さが152mm以上の場合
厚さ50.8mm以上の不燃材の上に厚さ0.61mm以上の鉄板を敷くこと。
・薪ストーブの脚の長さが50.8mm~152mm以下の場合
厚さ102mm以上の不燃材の上に厚さ0.61mm以上の鉄板を敷くこと。
さらに、炉台は薪ストーブの開口部(薪投入扉)がある面の床材との離隔距離は最低457mmとなる。
これは燃焼中に薪を投入する際に、扉を開けたときに薪が弾けて破片が飛び出してくることがあるためで、その火の子から床を保護し、汚さないための離隔距離の確保が必要とされている。
【最低限のルール② 本体と可燃壁との離隔距離】
本体と可燃壁との安全な離隔距離は、レンガや鉄板の防火壁の有無や空気層の有無によって変わってくる。
やはり安全を重視するならば、レンガで防火壁を作り、空気層を設けるのがセオリーです。
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・レンガ壁 25mm空気層
一番理想とされる薪ストーブの設置環境がこのレンガ壁と25mm空気層の壁に対する2重断熱です。
薪ストーブ側面(背面)から発せられる強烈な熱をレンガ壁が吸収。
レンガの温度が上がっても、壁との空気層の間で空気の流れが発生し、壁自体には全く熱は伝わらない。
これにより壁材の低温炭化は起こらず、防火対策としては一番の効果が得られる。 |
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・レンガ壁 空気層なし
25mmの空気層を設けず、レンガ壁が壁に着いている状態。
レンガは熱を吸収し温度が上がるので、レンガ温度防止のために本体からレンガ壁までの間を最低610mm離隔しなければならない。
レンガ壁に本体が近いと、高温がレンガを通り越し壁まで伝わり、内部の木材が低温炭化を起こす危険性がある。 |
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・レンガ壁なし 炉台のみ
薪ストーブを壁に近い位置で設置する場合にはほとんどやらない施工方法です。
本体の熱を遮るものがないため、壁からは最低でも915mmの離隔距離が必要とされる。
燃焼中の地震などで位置がずれた場合、薪ストーブの熱は壁にダイレクトに伝わってしまうため、短い時間でも出火の原因になりうる。
安全の観点からはこの方法はお勧めできない。 |
【まとめ】
やはり薪ストーブは安全が整っていて初めて楽しめるもの。不必要なリスクは避けたい。
そうなると、レンガ壁を作って、さらに壁から25mmの空気層を設けるべきです。
そうすれば、本体から壁までの距離が315mmで済むので、部屋の空間をより有効に使うことができる。
ただでさえ大きい薪ストーブの本体に、周辺には数日分の薪、ストーブツールなどを置かなければいけません。部屋の広さをよく考えて、安全を第一に考えた上で、防火対策を完璧に施工しましょう。
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